第7回 洋食のブイヨン・フォンの仕込みを効率化する方法|スープ・ソースへの活用

目次

洋食のブイヨン・フォンは、本当にすべて同じように仕込む必要があるのか

洋食でも、ブイヨンやフォンは料理の土台になります。

スープ、ポタージュ、ソース、煮込み、リゾット、パスタ、魚料理など、さまざまな料理に使われます。

肉や魚、香味野菜などを使い、時間をかけて旨味や香りを抽出する。

こうした仕込みは、洋食の味を支える大切な技術です。

一方で、毎日の厨房を考えると、

  • 原料の下処理
  • 長時間の加熱
  • アク取り
  • 濾過
  • 冷却
  • 保存
  • 鍋や器具の洗浄

まで、多くの工程があります。

そこで考えてみたいのが、

すべての料理について、完成したブイヨンやフォンを一から仕込む必要があるのか

ということです。

料理によっては、ブイヨンそのものが主役になる場合もあります。

一方で、ソースやポタージュのように、料理の中で旨味を下支えすることが目的の場合もあります。

この違いを整理すると、洋食の仕込みを効率化できる余地が見えてきます。


ブイヨン・フォン・フュメは「料理の土台」という点では共通している

洋食では、料理によってさまざまなストックが使われます。

ブイヨン

肉や魚、野菜などから旨味を取り出し、スープや煮込みなど幅広い料理のベースとして使われます。

フォン

ソースなど、料理をさらに組み立てるための土台として使われることが多いものです。

フュメ

魚介類を中心に、魚料理やソースなどへ使われるストックです。

作り方や目的は異なりますが、共通しているのは、

素材から旨味や香りを取り出し、料理の土台を作る

ということです。

だからこそ、

「何を仕込むか」

だけでなく、

「その料理では、ストックに何を求めているのか」

を考えることが重要になります。


「完成したスープが必要な料理」と「旨味の下支えが必要な料理」を分ける

和食と同じように、洋食でもすべての料理でストックの役割が同じではありません。

たとえば、澄んだコンソメのように液体そのものを味わう料理では、ストックの質が料理の中心になります。

こうした料理には、時間をかける価値があります。

一方、

  • ポタージュ
  • クリームスープ
  • ソース
  • リゾット
  • パスタ
  • 煮込み料理

では、野菜、乳製品、ワイン、バター、肉、魚など、さまざまな素材が加わります。

この場合、必要なのは必ずしも、

「完成したブイヨンそのもの」

ではありません。

料理全体の中へ、

必要な旨味や厚みを加えること

が目的の場合があります。


ポタージュでは主役の野菜を前に出す

たとえば、かぼちゃ、じゃがいも、にんじん、きのこなどのポタージュを考えてみます。

主役はあくまで野菜です。

ブイヨンが強すぎると、野菜本来の甘味や香りを覆ってしまう場合があります。

そこで、

主役の野菜を支える程度の旨味を加える

という考え方ができます。

昆布系の旨味で土台を作る。

マッシュルームや椎茸で厚みを加える。

料理によって必要な量だけ調整する。

完成した強いブイヨンをすべてのポタージュに使うのではなく、野菜ごとに旨味の強さを変える方法です。


ソースでは「ベースを作る」より「必要なコクを足す」という考え方もある

洋食のソースでは、

ワイン、バター、生クリーム、トマト、酢、香味野菜など、さまざまな素材が使われます。

そこへフォンやフュメを加えることで、料理に厚みを持たせます。

しかし少量のソースを作るために、毎回大量のフォンを準備するのは負担になる場合があります。

そこで、

ソース100gに対して、必要な旨味素材を○g

というように、小さな単位で考える方法があります。

たとえば魚料理なら、

鯛+昆布

を土台にする。

きのこソースなら、

マッシュルーム+昆布

を使う。

野菜系のソースなら、

昆布や椎茸などを少量組み合わせる。

このように考えると、

フォンを作ってからソースを作る

だけでなく、

ソースの中で必要な旨味を組み立てる

という方法も見えてきます。


魚料理では「フュメを大量に作る」以外の方法も考えられる

魚料理では、魚のアラなどを使ってフュメを取る方法があります。

魚料理に合わせた奥行きが出る一方、

  • アラの処理
  • 臭みへの対応
  • 加熱
  • 濾過
  • 保存

などの工程も必要です。

また、毎日大量のフュメを使用する店舗ばかりではありません。

コース料理で魚料理が数皿しか出ない日もあります。

そのような場合には、

必要な量だけ魚介の旨味を組み立てる

という方法も考えられます。

たとえば、

鯛+昆布

という組み合わせです。

昆布で土台を作り、鯛の旨味を加えることで、魚料理のソースやスープなどへ展開できます。

PRE-TASU(プレタス)の鯛は、こうした洋食の小ロット調理とも相性のよい素材です。


魚そのものの味を活かしたいときは「強い魚だし」にしない

魚料理では、

だしを強くすればおいしくなる

とは限りません。

甘鯛、白身魚、甲殻類など、素材そのものに旨味があります。

そこで、料理によっては、

昆布で土台を作る

鯛を少量加える

魚そのものの味を活かす

という考え方もできます。

主役となる魚と同じ方向の旨味を少量加えることで、

素材を邪魔せず、下から支える

という使い方です。


野菜料理ではマッシュルームや椎茸も使いやすい

洋食の野菜料理では、肉系のブイヨンを使わずにコクを持たせたい場面があります。

そこで活用しやすいのが、

  • 昆布
  • 椎茸
  • マッシュルーム

などです。

昆布で土台を作り、

マッシュルームや椎茸によって厚みを加える。

こうすると、

  • 野菜スープ
  • ポタージュ
  • リゾット
  • 野菜ソース
  • 煮込み料理

などへ広げられます。

特に、素材そのものの味を活かしたい料理では、

旨味を足しすぎないこと

も重要です。

必要量をグラムで調整できれば、料理ごとに強さを変えやすくなります。


パスタでは「ゆで汁+旨味素材」という考え方もできる

パスタ料理では、必ずしも別にブイヨンを用意する必要がない場合があります。

たとえばソースの中へ、

  • 昆布
  • マッシュルーム
  • 椎茸

など、料理に必要な旨味を少量加える方法です。

魚介パスタなら鯛+昆布。

きのこパスタならマッシュルーム+昆布。

野菜系なら昆布を中心に調整する。

このように、

料理そのものの水分・ソースの中で旨味を組み立てる

という使い方ができます。


リゾットは「料理の中でだしを作る」と考えやすい

リゾットも、小ロット調理との相性がよい料理です。

通常はブイヨンを用意し、米へ少しずつ加えていきます。

もちろん、この方法には意味があります。

一方で少量のリゾットを作る場合には、

使用する液体に必要な旨味をあらかじめ配合する

という方法も考えられます。

たとえば、

魚介リゾット

昆布+鯛

きのこリゾット

昆布+マッシュルーム

野菜リゾット

昆布を中心に必要な旨味を追加

というように、料理ごとに変えることができます。

これは第6回の和食で取り上げた、

「料理の中でだしを作る」

という考え方の洋食版です。

内部リンク先
「和食のだし取りを効率化する方法|昆布・椎茸・いりこ・カツオの使い分け」

一般的な粉末素材でも「煮出し」が必要な場合がある

洋食でも、粉末素材を使えば必ず仕込み工程がなくなるわけではありません。

乾燥した野菜、きのこ、魚介などを粉砕しただけの粉末では、素材によっては、

  • 加熱
  • 煮出し
  • 一定時間の抽出

によって旨味を取り出す必要があります。

その場合、同じ5gを使用しても、

温度、時間、水量などによって、料理へ移る味の強さが変わる可能性があります。

つまり、

粉末にしたこと

すぐ料理に使えること

は、必ずしも同じではありません。


PRE-TASU(プレタス)なら「ストックを作る」だけでなく「料理に直接組み込む」ことができる

PRE-TASUでは、鯛、昆布、椎茸などの素材を瞬間高温高圧焼成法で加工しています。

そのため、長時間煮出して旨味を抽出する方法だけではなく、料理や液体へ加えて混ぜ、短時間で素材の旨味を利用するという使い方ができます。

洋食では特に、

ブイヨンを作ってから料理する

だけではなく、

料理の中へ必要な素材を直接組み込む

という考え方につなげやすくなります。

たとえば、

鯛+昆布

マッシュルーム+昆布

椎茸+昆布

など、料理に合わせて組み合わせることができます。


「基本ブイヨン+調整」という方法も使える

すべてのブイヨンづくりをやめる必要はありません。

たとえば店舗で基本となるブイヨンを用意している場合には、

基本

通常のブイヨンを用意して、

魚料理

+鯛

きのこ料理

+椎茸

野菜料理

+昆布・椎茸

というように、基本ブイヨンを料理ごとに調整する方法もあります。

これなら、現在の厨房オペレーションを大きく変えずに試すことができます。


500mlだけ、ソース100gだけでも考えられる

大量仕込みだけで考えると、

「この料理専用のフォンを作るほどではない」

ということがあります。

しかし、

500mlだけ。1Lだけ。ソース100gだけ。

という単位なら、料理別のだし設計もしやすくなります。

たとえば、

魚料理4皿分だけ鯛系のだしが欲しい

という場合にも、大鍋でフュメを仕込むのではなく、必要量だけ準備するという考え方ができます。

これは、第5回で取り上げた小ロット調理・追いだしともつながります。

内部リンク先
「必要な分だけだしを作る方法|飲食店の小ロット調理と食品ロス対策」


洋食の仕込みを効率化する5つの考え方

  1. ストックそのものが主役の料理かを考える
  2. 料理の下支えなら必要な旨味だけ加える方法も検討する
  3. 魚・野菜・きのこなど料理ごとに素材を使い分ける
  4. 大量仕込みと小ロット調理を使い分ける
  5. 完成したブイヨンだけでなく、料理の中で旨味を組み立てる

重要なのは、

ブイヨンやフォンを作らないこと

ではありません。

時間をかける価値のあるものには、しっかり時間を使う。

一方で、料理の下支えとして使うものは、別の方法も考える。

その使い分けです。


「仕込みを減らす」ではなく「料理へ時間を戻す」

ブイヨンやフォンの仕込みには、料理人の技術があります。

だからこそ、全部を簡略化する必要はありません。

一方で、

毎日同じ下支えのために、

大きな鍋を使い、
火口を占有し、
濾過して、
冷却して、
保存する。

その工程が本当に必要なのかは、料理ごとに考えることができます。

ポタージュなら野菜を主役にする。

魚料理なら鯛と昆布で支える。

きのこ料理ならマッシュルームを加える。

ソースなら必要なコクだけを加える。

こう考えることで、

「完成したストックを仕込む」から、「料理に必要な旨味を設計する」へ

洋食の仕込み方を広げることができます。


関連記事

飲食店の仕込み時間を短縮するには?だし・スープづくりから見直す方法

飲食店の味を安定させる方法|だし・スープの味が日によって変わる原因

必要な分だけだしを作る方法|飲食店の小ロット調理と食品ロス対策

和食のだし取りを効率化する方法|昆布・椎茸・いりこ・カツオの使い分け

この記事を書いた人

目次