第5回 必要な分だけだしを作る方法|飲食店の小ロット調理と食品ロス対策

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大量に仕込むことが、いつも正解とは限らない

飲食店では、営業前にある程度の料理をまとめて仕込んでおくことが一般的です。

だしやスープも同じで、

「途中で足りなくならないように、多めに作っておこう」

と考えることがあります。

もちろん、毎日安定して大量に使用する料理であれば、まとめて仕込む方が効率的です。

しかし、注文数が日によって変わる料理や、使用量の少ない料理まで大量に仕込むと、

  • 使い切れない
  • 保存場所が必要になる
  • 冷却や移し替えが必要になる
  • 容器や洗浄作業が増える
  • 翌日へ持ち越すか判断する必要がある

といった別の仕事が生まれます。

そこで考えてみたいのが、

「必要な時に、必要な分だけ作る」

という方法です。


なぜ飲食店では「多めに仕込む」のか

多めに仕込む理由の一つは、

営業中に足りなくなることへの不安

です。

注文が予想以上に入ってから、もう一度だしを取ろうとしても時間がかかります。

昆布や魚介、野菜などからだしを取る場合には、

素材を準備する

抽出する

濾過する

仕上げる

という工程が必要です。

そのため、

足りなくなるくらいなら、少し多めに作っておこう

となりやすいわけです。

つまり、大量仕込みには単なる作業効率だけではなく、追加で作ることが難しいという事情もあります。


大量仕込みには「見えにくい仕事」もある

大きな鍋で一度に作れば、調理回数自体は少なくなります。

しかし、仕込み量が増えるほど、その後の作業も大きくなります。

冷却する

大量のだしやスープは、使用しない分を適切に冷却・保管する必要があります。

保存容器へ移す

鍋のままではなく、保存しやすい単位へ分ける作業が発生します。

冷蔵スペースを使う

だしやスープだけで冷蔵庫のスペースを取ることもあります。

残量を管理する

何リットル残っているのか、いつ作ったものなのかを管理する必要があります。

つまり、

「一度に作るから効率がよい」とは、調理時間だけを見た場合の話

ともいえます。

仕込みを、準備・加熱・濾過・保存・洗浄まで含めて見直す考え方については、関連記事で詳しく解説しています。



「一括仕込み」と「小ロット調理」を使い分ける

大切なのは、大量仕込みをやめることではありません。

料理によって使い分けます。

一括仕込みが向いているもの

  • 毎日大量に使用する基本スープ
  • 注文数が安定している料理
  • 長時間調理そのものが味を作る料理
  • まとめて作った方が品質を管理しやすいもの

こうしたものは、従来どおりまとめて仕込む方が合理的です。

小ロットが向いているもの

一方、

  • 注文数が読みにくい料理
  • コース料理
  • 限定メニュー
  • 日替わりメニュー
  • 少量だけ使うソース
  • 煮物の下支え
  • パスタやリゾットに使うだし
  • 追加注文に対応するスープ

などは、

必要な分だけ作る

という方法を検討できます。


500mlだけ、1Lだけ作れれば仕込み方が変わる

たとえば、1日の使用量が5Lになるか8Lになるか分からない場合を考えてみます。

従来であれば、

「念のため8L作っておく」

という判断をするかもしれません。

しかし、

足りなくなったら1Lだけ追加できる

のであれば、

最初は5L


必要になったら1L追加

さらに必要なら追加

という考え方もできます。

これが、今回の記事でいう小ロット調理です。

料理を小さく作ることが目的なのではなく、

必要量の変化に合わせて、仕込み量を調整できる状態をつくる

ことがポイントです。


営業途中の「追いだし」という考え方

ここはPRE-TASUの特徴とも非常に相性のよい考え方です。

営業中に、

「あと500mlだけだしが欲しい」

「スープが1L足りない」

となった場合、もう一度最初からだしを取るとなると時間が必要です。

そのため、従来は営業前に余裕を持って大量に仕込む必要がありました。

もし、

必要な時に、必要な量だけ追加できる

のであれば状況が変わります。

これを分かりやすく、

「追いだし」

と考えてみます。

朝にすべてを作り切るのではなく、

基本量を仕込む

営業状況を見る

足りなければ500ml・1L単位で追いだしする

という運用です。


一般的な素材粉末では「追いだし」が難しい場合もある

ここで注意したいのが、

粉末素材なら何でもすぐ追いだしできるわけではない

という点です。

昆布や椎茸、魚介などの乾燥素材を単純に粉砕した粉末の場合、素材内部の旨味成分を水へ移すために、加熱や一定時間の抽出が必要になることがあります。

そのため、

粉を入れて混ぜれば、すぐ最初のだしと同じ状態になる

とは限りません。

また、煮出す場合には、

  • 温度
  • 時間
  • 水量
  • 攪拌
  • 原料の状態

などによって抽出状態が変わります。

同じ5gを使用しても、最初に仕込んだものと追加分で抽出条件が違えば、味が変わる可能性があります。


PRE-TASU(プレタス)は「必要量だけ追加する」使い方がしやすい

PRE-TASU(プレタス)では、昆布、椎茸、いりこ、鯛などを瞬間高温高圧焼成法によって加工しています。

素材組織が変化しているため、一般的な素材のように長時間煮出して成分を抽出する使い方だけでなく、水や料理へ加えて混ぜ、短時間で素材の旨味を利用するという使い方ができます。

そのため、

水500ml+PRE-TASU○g

水1L+PRE-TASU○g

というように、必要量に合わせて配合を決めやすくなります。

これは、

「だしを作り置きしておく」から、「必要な時に必要な分だけ作る」へ

仕込みの考え方を変える一つの方法です。

「追いだし」と味の安定はセットで考える

追加できるだけでは十分ではありません。

重要なのは、

朝に作っただしと、営業途中に追加しただしの味をできるだけ合わせること

です。

そこで、グラム管理が役立ちます。

たとえば基本の配合を、

水1L:素材○g

と決めた場合、

500ml追加するなら半量、
2L追加するなら2倍、

という形で考えられます。

つまり、

「感覚で追加する」のではなく「配合で追加する」

ということです。

だしやスープの味がぶれる原因と、グラム管理による再現性については関連記事で詳しく解説しています。

小ロット化は食品ロスだけの話ではない

必要量だけ作ることによって期待できるのは、余りを減らすことだけではありません。

保存作業を減らしやすい

余分に作らなければ、保存する量自体を減らせます。

冷蔵スペースを使いすぎない

大きな容器を複数保管する必要も減らせます。

仕込み量の予測が外れても対応しやすい

来客数が少ない日も多い日も、追加量で調整しやすくなります。

少量メニューを作りやすい

限定料理やコース料理など、使用量の少ないだしにも対応しやすくなります。

つまり小ロット調理は、

ロス・保存・仕込み・メニュー設計

をまとめて考える方法でもあります。


小規模店ほど「必要量だけ」のメリットが出やすい

席数の少ないレストランや、コース主体の店舗では、一日に使用するだしの量が大量とは限りません。

また、

今日は魚料理が多い。
明日は野菜料理が多い。

というように、料理によって必要なだしも変わります。

その場合、大きな鍋で一種類のだしを大量に作っておくより、

料理に合わせて必要な旨味を必要量だけ組み立てる

方が使いやすい場合があります。

たとえば、

  • 昆布+椎茸
  • 鯛+昆布
  • いりこ+昆布

のように、料理に応じて素材を変えることもできます。

仕込みを標準化して、人手や教育負担を減らす考え方については関連記事で詳しく解説しています。


小ロット調理はメニュー開発にも使える

もう一つ面白いのが、新しい料理の試作です。

新メニューを考えるときに、10Lのスープを作る必要はありません。

500ml、あるいは数人前から試せれば、

  • 昆布を少し増やす
  • 鯛を加える
  • 椎茸を減らす
  • 濃度を変える

といった比較もしやすくなります。

小ロットで味を組み立てられることは、

営業効率だけではなく、商品開発・メニュー開発にもつながります。

「使い切れる量を作る」という考え方

食品ロスを考えるときには、

「余ったものをどう使うか」

だけでなく、

最初から余りにくい量を作る

という考え方もあります。

もちろん、営業では予想外の注文もあります。

だからこそ、

足りなければ追加できる仕組み

があれば、最初の仕込み量を必要以上に増やさずに済みます。

大量仕込みを否定するのではなく、

一括仕込み+必要量の追いだし

という組み合わせを考えることがポイントです。


飲食店で小ロット調理を考える5つの確認ポイント

  1. 毎日余りやすいだし・スープはないか
  2. 注文数の変動が大きい料理は何か
  3. 500ml・1L単位で追加できるものはないか
  4. 保存・冷却に手間がかかっている仕込みは何か
  5. 一括仕込みと追いだしを組み合わせられないか

すべての仕込みを小ロットにする必要はありません。

重要なのは、

大量に作る方がよいものと、必要な分だけ作れるものを分ける

ことです。


仕込み量を「予想する」から「調整する」へ

飲食店では、翌日の来客数を完全に予測することはできません。

そのため従来は、

足りなくならないように多めに仕込む

という方法が必要でした。

しかし、

必要な時に、
必要な量を、
同じ配合で追加できるのであれば、

仕込み量の考え方も変わります。

「何L必要かを朝に決め切る」のではなく、「営業状況に合わせて必要量を調整する」。

これが、小ロット調理と「追いだし」の大きな考え方です。

料理の質を守りながら、仕込み・保存・ロスをどう減らせるか。

毎日のだしやスープづくりは、その見直しを始めやすい工程の一つです。

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