第1回 飲食店のだし取りを効率化する方法|仕込み時間・人手・味の安定を考える

飲食店では、営業が始まる前から多くの仕込みが行われています。

その中でも、和食のだし、洋食のブイヨンやスープなどは、料理の土台となる大切な仕事です。

昆布を水に浸ける。
素材を煮出す。
火加減を調整する。
アクを取る。
濾す。
冷却する。
保存容器へ移す。

さらに、使用した鍋やザルなどを洗うところまで含めると、「だしを取る」という作業は、抽出時間だけでは終わりません。

一方で、すべての料理について毎回同じ方法でだしを取る必要があるのでしょうか。

この記事では、

「だし取りをやめる」のではなく、料理によって“きちんと取るだし”と“効率化するだし”を使い分ける

という考え方から、飲食店の仕込みについて考えてみます。

目次

飲食店のだし取りは「時間」だけの問題ではない

だしを取る作業というと、「何分煮出すか」「何時間水出しするか」という時間に目が向きがちです。

しかし実際の厨房では、だしを取るために、

  • 火口
  • ザルや濾し器
  • 保存容器
  • 冷蔵スペース
  • 洗浄作業

なども必要になります。

つまり、だし取りの効率を考えるときには、単純な調理時間だけではなく、厨房全体の動きとして考えることが重要です。

たとえば大きな鍋でだしを取っている間は、その鍋や火口を別の仕込みに使えません。

仕込みの多い時間帯では、この違いが厨房全体の作業効率にも影響します。

だし取りで起こりやすい4つの課題

1.仕込み時間がかかる

昆布の水出しや素材の煮出しなど、だしの種類によっては事前準備が必要です。

さらに、抽出後の濾過、冷却、保存、洗浄まで考えると、複数の工程があります。

料理に直接かけている時間だけを見るのではなく、

「だしを準備して、使える状態にするまで」

を一つの工程として見る必要があります。


2.作る人によって味が変わることがある

天然素材を使っただしは、素材の状態だけでなく、

  • 水の量
  • 使用量
  • 温度
  • 抽出時間
  • 火加減
  • 濾すタイミング

などによって仕上がりが変わります。

熟練した料理人なら感覚的に調整できても、新しいスタッフに同じ味を再現してもらうには教育が必要です。

飲食店にとって、「おいしい」ことと同時に「いつ来ても同じ味である」ことも重要です。

3.人手不足で仕込みの負担が集中しやすい

飲食店では、人手不足によって一人のスタッフが複数の仕込みを担当することも珍しくありません。

だし取りも、単に鍋を火にかけておけば終わる作業ではありません。

素材の準備から、

  • 加熱
  • アク取り
  • 火加減の調整
  • 濾過
  • 冷却
  • 保存
  • 使用した器具の洗浄

まで、途中で人の手が必要になります。

特に営業前の限られた時間には、だしを取りながら、野菜を切る、ソースを仕込む、魚や肉の下処理をするなど、複数の作業が同時に進みます。

そのため、だし取りに人が取られることは、その工程だけでなく厨房全体の仕込みにも影響します。

また、経験のあるスタッフにしか任せられない工程が多いと、その人が休んだときや、新しいスタッフが入ったときに対応しにくくなります。

人手不足を考えるときには、

「何人で営業するか」だけではなく、
「限られた人数で、どの仕込みに時間と技術を使うか」

を考えることも大切です。

だしを取ること自体が料理の重要な工程であれば、そこに人と時間を使う価値があります。

一方で、料理の下支えとして使うだしについては、仕込み方法を見直すことで、限られた人員を別の重要な調理に振り向けられる可能性があります。

4.必要以上に作ってしまうことがある

営業人数を予測してだしを仕込んでも、必ずしも予定通り使い切れるとは限りません。

反対に、予想以上に注文が入り、途中で足りなくなることもあります。

そこで考えたいのが、

必要なときに、必要な量だけ作る

という方法です。

これは、小規模な飲食店やコース料理、日によって注文数が変わるメニューでは特に考えやすい方法です。

すべてのだし取りを省く必要はない

ここは、とても大切なポイントです。

飲食店の効率化というと、

「時間がかかる工程をなくす」

という方向に考えがちですが、料理にとって重要な工程までなくしてしまっては意味がありません。

料理人が時間をかけて取っただしそのものが料理の中心になる場合もあります。

たとえば、だしそのものを味わわせる吸い物などでは、素材選びから抽出方法までが料理の一部になります。

一方で、

  • 煮物の下支え
  • 炊き込みご飯
  • ソース
  • パスタ
  • リゾット
  • ポタージュ
  • 下味
  • タレ

などでは、必ずしもすべて同じ方法で長時間だしを取る必要があるとは限りません。

つまり、だしをしっかり取る料理だし取りを効率化できる料理を分けて考えることがポイントです。

和食と洋食では「だし」の使われ方も違う

和食の場合

和食では、

昆布、かつお節、椎茸、煮干しなどを組み合わせながら、料理に合わせてだしを使い分けます。

同じ昆布だしでも、

  • 吸い物
  • 煮物
  • 茶碗蒸し
  • 炊き込みご飯
  • 麺類

では求められる強さが違います。

すべての料理に同じ濃さのだしを使うのではなく、料理によって必要な旨味の量を変えることができます。


洋食の場合

洋食でも、

  • ブイヨン
  • コンソメ
  • フュメ
  • スープ
  • ソース

など、料理の土台としてさまざまなだしが使われます。

さらに、

ポタージュ、パスタ、リゾット、魚料理、野菜料理などでは、必ずしも完成したスープそのものが必要なのではなく、料理の中に必要な旨味を補うことが目的の場合もあります。

ここに、仕込みを効率化できる余地があります。


「だしを取る」から「必要な旨味を組み立てる」へ

もう一つ考えてみたいのが、だしを完成品として考えるだけでなく、

料理に必要な旨味を組み立てる

という考え方です。

たとえば、

昆布+椎茸

鯛+昆布

いりこ+昆布

など、素材ごとの特徴を利用して料理に合わせて組み合わせることができます。

これは、「出来上がった一種類のだしをすべての料理に使う」のとは違う方法です。

料理ごとに、

この料理にはどの素材の旨味が必要なのか?

と考えることで、だしの使い方そのものを見直すことができます。

この考え方については、本連載の後半で詳しく取り上げていきます。


粉末タイプを使うという選択肢

だしの効率化の一つとして、粉末タイプを使用する方法があります。

粉末タイプには、

  • 必要量を計量しやすい
  • 少量から使える
  • 作る量を調整しやすい
  • レシピ化しやすい

といった特徴があります。

ただし、粉末だしにもさまざまな種類があります。

調味料として完成されたものもあれば、昆布や魚介類など、素材そのものを粉末化したものもあります。

そのため、

「粉末だから同じ」

ではなく、原材料や製法、塩分の有無、料理への使い方を確認することが大切です。

PRE-TASU(プレタス)では「料理に合わせて使う」ことを考える

株式会社 瀬戸プレスフーズのPRE-TASU(プレタス)では、昆布、椎茸、いりこ、鯛などの素材を、独自の瞬間高温高圧焼成法によって加工しています。

そのため、完成された一種類のスープを使うだけではなく、

料理に合わせて素材を選び、組み合わせる

という使い方ができます。

たとえば、

  • 和食なら昆布+椎茸
  • 魚料理なら鯛+昆布
  • 麺や煮物ならいりこ+昆布

など、料理人が求める味に合わせて考えることができます。

また、調味まで含めて手軽に使用したい場合と、塩分を料理人側で調整したい場合では、使用する商品も変わります。

大切なのは、

「従来のだし取りをすべて置き換える」ことではありません。

料理の中で時間をかけるべき部分と、効率化できる部分を分けることです。

仕込み時間を、料理を仕上げる時間へ

飲食店にとって、仕込みはなくすものではありません。

むしろ、限られた時間の中で、

「どの仕込みに時間を使うのか」

を考えることが重要になっています。

だし取りについても、

  • 本当に時間をかけたい料理
  • 味を一定にしたい料理
  • 少量だけ必要な料理
  • 営業中に追加したい料理

など、用途によって方法を変えることができます。

毎日のだし取りを一度見直してみると、厨房全体の仕事の流れが変わる可能性があります。

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