「亜鉛を含む食品は、加熱すると栄養がなくなるのでしょうか?」
牡蠣や肉、魚など、亜鉛を含む食品を調理するときに、このような疑問を持つ方もいるかもしれません。
亜鉛は、ビタミンCのように熱によって壊れやすい栄養素ではありません。しかし、調理方法によっては煮汁やゆで汁に成分が移ったり、食べる部分が減ったりすることで、実際に口に入る量が変わることがあります。
大切なのは、加熱を避けることではなく、食品の特徴に合った調理方法を選び、料理全体を無駄なく食べることです。
この記事では、亜鉛と加熱の関係、調理による変化、毎日の食事で無理なく取り入れる方法を紹介します。
亜鉛とはどのような栄養素?
亜鉛は、体内のさまざまな働きに関わる必須ミネラルです。
ミネラルとは、体を構成したり、体内の機能を調整したりする無機質の総称です。亜鉛は体内で十分に作ることができないため、毎日の食事から摂る必要があります。
亜鉛を含む代表的な食品には、次のようなものがあります。
・牡蠣などの魚介類
・牛肉や豚肉
・レバー
・卵、乳製品
・豆類
・種実類
・穀類
なかでも牡蠣は、亜鉛を多く含む食品として知られています。
文部科学省の食品成分データベースでは、養殖の生牡蠣100g当たりの亜鉛量は14.0mgと掲載されています。食品に含まれる量は産地、季節、個体差、加工方法などによって変わるため、一つの数値だけでなく、日々の食事全体で考えることが大切です。
亜鉛は加熱すると壊れる?
結論からいうと、亜鉛は加熱しただけで簡単に壊れたり、消えてなくなったりする栄養素ではありません。
亜鉛はビタミンではなくミネラルです。
たとえばビタミンCは水に溡けやすく、熱による影響も受けやすいため、長時間の加熱によって食品中の量が減ることがあります。これに対して、亜鉛そのものは通常の調理温度で分解されるものではありません。
そのため、
「加熱した牡蠣には亜鉛がなくなる」
「焼いた肉から亜鉛が消える」
という考え方は適切ではありません。
ただし、調理した料理から私たちが実際に摂る亜鉛量は、加熱以外の要因によって変わることがあります。
調理によって亜鉛の摂取量が変わる3つの理由
1.ゆで汁や煮汁に成分が移ることがある
食品を水でゆでたり煮たりすると、食品中の一部の成分が調理水へ移ることがあります。
亜鉛が熱で壊れたわけではなく、食品から煮汁側へ移動したと考えるのが適切です。
ゆでた後の湯をすべて捨てる料理では、食品に含まれていた成分の一部も一緒に捨てることになります。
一方で、
・スープ
・味噌汁
・鍋料理
・煮込み料理
・あんかけ
・炊き込みご飯
のように、煮汁や調理液まで食べる料理であれば、溶け出した成分も料理全体として取り入れやすくなります。
2.加熱によって食品の水分量が変わる
食品は焼いたり煮たりすると、水分が減ることがあります。
その結果、調理後の食品100g当たりで見ると、亜鉛の数値が高くなったように見える場合があります。
反対に、水分を多く含む料理では、料理100g当たりの数値が低く見えることもあります。
これは必ずしも亜鉛の総量が増えたり減ったりしたことを意味するわけではありません。
栄養成分を比較するときは、
・生の状態か
・加熱後か
・乾燥品か
・水分を含んだ料理か
を確認することが大切です。
3.食べずに残す部分が増えることがある
亜鉛を含む食品でも、調理中に出た汁や細かな身を捨ててしまえば、その部分に含まれる栄養も摂れません。
たとえば魚介類を加熱した際に出る汁には、素材の旨味も含まれています。
この汁をソースやスープに活用すれば、旨味を活かしながら、食材を無駄なく使うことにつながります。
調理方法による違い
焼く・炒める
焼く、炒めるといった調理では、ゆで汁のように大量の水を捨てることがありません。
ただし、加熱中に出た肉汁や魚介の汁を捨てると、その中に移った成分も一緒に失われる可能性があります。
フライパンに残った汁をソースに使ったり、野菜と絡めたりすると、食材全体を活用できます。
ゆでる
ゆでる調理では、食品から調理水へ成分が移ることがあります。
ゆで汁を捨てる料理が必ず悪いわけではありませんが、亜鉛を含む食材を無駄なく使いたい場合は、スープや鍋料理への活用も選択肢になります。
煮る
煮物やスープは、煮汁まで食べられることが大きな特徴です。
牡蠣、肉、魚、豆類などを使ったスープにすると、素材から出た旨味も料理に残ります。
ただし、塩分の摂りすぎにならないよう、だしや素材の旨味を活かして味を整えることが大切です。
蒸す
蒸し料理は、食品が大量の調理水に直接触れにくい方法です。
蒸したときに皿へ出た汁にも素材の味が含まれるため、たれやあんに加えて活用できます。
揚げる
亜鉛は脂溶性ビタミンではないため、揚げ油の中へ大量に溶け出すと考える必要はありません。
ただし、揚げ物は油やエネルギー量が多くなりやすいため、亜鉛を摂ることだけを目的に揚げ物を増やす必要はありません。
食事全体のバランスに合わせて選びましょう。
亜鉛を無駄なく食べる5つの工夫
1.汁まで食べられる料理にする
亜鉛を含む食材は、スープ、鍋、あんかけ、リゾット、炊き込みご飯などに使うと、調理中に出た汁も一緒に食べられます。
特に牡蠣や魚介類は、素材から出る旨味を料理全体に活かしやすい食材です。
2.肉汁や魚介の汁をソースに使う
焼いた肉や魚介から出た汁を捨てず、少量のだし、しょうゆ、酢、みそなどと合わせれば、料理のソースとして活用できます。
素材の旨味を利用することで、調味料を多く使わなくても味に厚みを出しやすくなります。
3.細かくして料理全体に混ぜる
食材を細かくしたり、パウダー状の素材を使用したりすると、料理全体へ均一に混ぜやすくなります。
たとえば、
・スープ
・卵料理
・ハンバーグ
・クリームソース
・カレー
・炊き込みご飯
・ディップ
などに少量ずつ加える方法があります。
ただし、食品パウダーは水に完全に溶解するとは限りません。
素材によっては、時間の経過とともに沈殿したり、使用量が多いとざらつきを感じたりすることがあります。少量から試し、料理に合った配合を確認することが重要です。
4.一度に大量ではなく、日々の食事に取り入れる
亜鉛は、一度に大量に摂ればよいというものではありません。
特定の食品だけに頼るのではなく、魚介、肉、卵、乳製品、豆類などを組み合わせ、毎日の食事から継続して摂ることが基本です。
5.亜鉛だけでなく食事全体を考える
亜鉛を意識するあまり、牡蠣や肉だけに食事が偏るのは好ましくありません。
主食、主菜、副菜を組み合わせ、たんぱく質、野菜、海藻、きのこなどもバランスよく取り入れましょう。
亜鉛を含む食品の種類は幅広く、牡蠣や肉のほか、豆類、種実類、全粒穀物、乳製品などにも含まれています。
牡蠣の亜鉛と旨味を料理に活かす
牡蠣は亜鉛を多く含む一方で、毎日生の牡蠣を用意して調理するのは難しいことがあります。
また、牡蠣特有の風味が強すぎると、使える料理が限られる場合もあります。
そこで考えられるのが、牡蠣を加工した食品素材の活用です。
パウダー状の素材であれば、必要な量を計量しやすく、スープ、ソース、卵料理、ひき肉料理などに少量ずつ加えられます。
プレタスの焼カキパウダーは、牡蠣を瞬間高温高圧焼成法によって加工した食品素材です。
牡蠣料理を作るためだけではなく、牡蠣由来の旨味を料理へ加える素材として、さまざまな食品への応用を検討できます。
焼カキパウダーの活用例
スープや味噌汁に
いつものだしに少量加えることで、牡蠣に含まれるコハク酸などの呈味成分が加わり、貝類らしい旨味とコクを補えます。
焼こんぶ、焼しいたけ、BASE粉末だしなどと組み合わせると、牡蠣だけが強く出すぎない、まとまりのある味に調整しやすくなります。
卵料理に
卵焼き、オムレツ、茶碗蒸しなどに少量加える方法です。
卵のやさしい味に魚介の旨味を重ねられます。
カレーやシチューに
香辛料や乳製品を使う料理では、牡蠣特有の風味を調整しながら、味の奥行きを加えられます。
あんかけやソースに
片栗粉や白米パウダーなどでとろみをつけると、パウダーが料理全体に絡みやすくなります。
冷たい料理に使用する場合は、白米パウダーなど、冷たい状態でも粘度をつけやすい素材との組み合わせも考えられます。

ハンバーグやつくねに
ひき肉へ少量練り込むことで、魚介の旨味を加えられます。
使用量が多いと牡蠣の風味が前面に出やすいため、少量から試作することが大切です。

食品パウダーを使うときの注意点
食品パウダーは便利ですが、入れれば入れるほどよいとは限りません。
特に魚介系のパウダーは、使用量によって次のような変化が起こることがあります。
・香りが強くなる
・苦味や後味を感じる
・色が濃くなる
・沈殿する
・ざらつきを感じる
・塩味や旨味のバランスが変わる
家庭料理でも商品開発でも、まずは少量から加え、加熱後と冷却後の両方で味や食感を確認することが重要です。
また、パウダーそのものの亜鉛含有量は、原料や加工条件によって異なります。
具体的な栄養成分を商品表示や販促に使用する場合は、推測ではなく、実際の製品を分析した数値に基づいて表示する必要があります。

亜鉛は多く摂るほどよいわけではない
亜鉛は体に必要な栄養素ですが、必要以上に摂れば健康効果が高くなるわけではありません。
特にサプリメントや亜鉛を強化した食品を複数併用している場合は、摷取量が多くなりすぎないよう注意が必要です。
通常の食品をバランスよく食べることを基本とし、サプリメントを使用している方や治療中の方は、医師や管理栄養士などの専門家へ相談してください。
まとめ|亜鉛は加熱を避けるより、料理全体で食べる工夫を
亜鉛はミネラルであり、通常の加熱によって簡単に壊れる栄養素ではありません。
ただし、ゆで汁や煮汁を捨てたり、加熱中に出た肉汁や魚介の汁を残したりすると、そこに移った成分を十分に摂れないことがあります。
亜鉛を含む食品を無駄なく食べるためには、
・スープや鍋など汁まで食べられる料理にする
・肉汁や魚介の汁をソースに使う
・食材を細かくして料理全体に混ぜる
・特定の食品だけに偏らない
・毎日の食事へ少量ずつ取り入れる
といった工夫が役立ちます。
牡蠣などの食品を毎回調理することが難しい場合には、パウダー状の食品素材をスープ、ソース、卵料理などへ活用する方法もあります。
亜鉛の含有量だけに注目するのではなく、素材の旨味、食べやすさ、調理のしやすさも含めて、毎日の食事を考えてみましょう。
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亜鉛を多く含む食品や、1日に必要な量については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
【亜鉛とは?必要量と多く含む食材を管理栄養士が解説】



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