醤油麹とは

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醤油麹とは

醤油麹と醤油

みなさん、醤油麹と聞いて思い浮かぶことは、麹に醤油を入れて熟成させるタイプでしょうか。それとも醤油造りをするために使用する麹のことを思い浮かべますでしょうか。おそらく、前者の方がメジャーなので、前者の方を醤油麹として認識されていると思います。

 ただ、実は醤油麹は正式には後者の方で、醤油造りをするために使用する麹のことを指します。

醤油の原料

小麦+大豆+塩+水+麹菌

 醤油は、至ってシンプルな原料でできます。蒸した大豆に、小麦を炒って、麹菌を加えて少しずつ混ぜ合わせて作ったものを醤油麹といいます。

 この醤油麹に水と食塩を加えて仕込んでいくと出来上がっていくのが、トロトロな状態のもろみとなります。このもろみを絞ってできた液体が醤油となります。

 この醤油は火入れをすることで発酵を止め、味や風味を安定化させて市販として出回ります。このあたりの仕組みは、前回の甘酒の時と原理は同じです。

 火入れをしない醤油を生醤油(きじょうゆ)といい、酵素がふんだんに含まれており、香りや風味、旨味などがとてもフレッシュで、大豆と小麦のほんのりとした甘い香りに、熟成された、本当に醤油だ、と思える味わいのものになります。

 ただ、もちろん日持ちはあまりしないため、すぐに使い切るか、風味が変わっていくことも発酵食品の醍醐味として、変化を楽しむのもひとつの方法です。

醤油の世界は奥深く、いろいろな醤油について機会がありましたら、その際に触れていきたいと思います。

米麹と醤油から作る醤油麹

醤油の工程と味わい等については、簡易的にはなりますが前述したとおりです。ただ、一般家庭で醤油を作るのは、少し大変です。それをもっと手軽にとることができるのが、米麹と醤油からつくる醤油麹です。

 米麹は乾燥でも生でもどちらでも構いませんが、甘酒と同様に、醤油を入れてかき混ぜて熟成させるだけで、新鮮な酵素やビタミン、ミネラルなども含まれており、醤油だけでは味わえない、米麹由来の甘さや旨味が加わり、とても美味しく味わうことができます。

 今回は、その手軽にできる醤油麹について、いろいろなレシピや栄養素、活用方法などについてご紹介していきたいと思います。

醤油麹の栄養素や特徴

醤油麹は、米麹に醤油をいれて熟成させるものです。米麹の栄養素については甘酒の際に触れたので、今回は醤油について触れていきます。

 醤油の原料は、大豆・小麦・塩です。大豆にはタンパク質をはじめ、ビタミンB1やビタミンE、カルシウム、鉄、亜鉛などの栄養素を豊富に含んでおります。

そして、大豆と小麦を麹菌の酵素で分解される過程で約20種類のアミノ酸に変化します。中でもグルタミン酸は旨味の主成分であり、日本の調味料としての独特な旨味を醸し出してくれています。

 

また、醤油は他の発酵食品の中でも一番五味のバランスが良いと言われています。

五味とは、旨味、塩味、甘味、酸味、苦味です。

 旨味は前述のとおり、グルタミン酸によって生み出されます。

 塩味について、醤油は塩分濃度が14~18%と、実は海水の5~6倍ありますが、アミノ酸や乳酸などの成分が塩味を和らげているため、深みのある味わいとなっています。

 甘味については、小麦のでんぷんが発酵の過程によりブドウ糖に変化しているため、丸みを持たせる甘味になっています。

 苦味について、直接苦いと感じることはないと思いますが、国を与える隠し味的な存在として数種類苦み成分が含まれています。

 そして、醤油には約300種類の香気成分が含まれていると言われており、これは麹菌や乳酸菌、酵母などによって生み出されたもので、全体的に調和し、醤油独特の香りを醸し出しています。

 他にも沢山の効果がありますが、こちらについては別の機会で触れたいと思います。

醤油について、こんなに沢山の特徴を備えているため、もともと持っている米麹に加え、醤油の特徴が加わった醤油麹について作ってみないのは勿体ないと思います!実際に気になる塩分ですが、米麹を加えるため、醤油単体で使用するよりも味わいも塩味もしっかりと感じられるため、減塩に繋がります。塩分が気になる方は必見です。

通常の醤油麹とプレタス黒米入り醤油麹の違い

これだけ良いことがある醤油麹に、更に健康パワーを持つ黒米を加えた醤油麹を作ってみました。

その違いを検証してみましたので、是非ご参考ください。

作成について、通常の醤油麹は別途レシピに記載の通り、醤油と米麹を容器に入れて混ぜて熟成させます。黒米入り醤油麹については、醤油と米麹、これにプレタス黒米大さじ1杯ほど容器に入れて混ぜて熟成させます。

プレタス黒米

季節にもより熟成加減は変わります。1日に1回かき混ぜると新鮮な酸素が入り、発酵を促してくれます。少し時間が経過するとプツプツと気泡のようなものが出てきます。発酵している証拠です。

冬場は気温が低いので常温保管1~2週間でトロッととろみが出てきて、香りも醤油の香ばしさの中にほんのりとした甘さを感じるようになります。

 通常の醤油麹プレタス黒米入り醤油麹
醤油よりも塩味を感じない。角がなく、酒の肴にも充てられる塩加減。通常よりも塩加減は強く感じるが、通常より奥深い旨味を感じる。若干塩味にバラつきを感じるが、あくまでも比べたら感じる程度。
風味醤油の香ばしさを感じる。 ただ、醤油だけの香りよりもマイルドに感じる。通常のものより香ばしさが際立つ。焼いた時のような複雑な香ばしさを感じる。
茶色黒赤紫
食感米麹の粒の食感を感じることができる。通常より米麹の食感について柔らかく感じる。
栄養素醤油の原料である大豆のイソフラボンやタンパク質に加え、醤油の発酵の過程で生じるアミノ酸やビタミン、ミネラル、酵素などが豊富。通常の醤油麹の栄養素に加え、ビタミン・ミネラルが白米の2倍以上。ビタミンEは10倍、食物繊維は5倍以上。アントシアニン豊富。
比較
通常の醤油麹
プレタス黒米入り醤油麹

色については、黒米を入れていることもあり、天然色素でもあるアントシアニンの溶出で黒に近い色合いになったかと思われます。

味や風味について、黒米は食物繊維が豊富であることから、塩味のバラつきを感じた可能性がありますが、良い意味で味わいを楽しめると考えられます。

また、黒米の旨味も相まって、米麹だけの醤油麹よりも奥深い旨味を感じることができました。食感は特に変化はなく、黒米を入れることにより特別に気になる点はありませんでした。

栄養素については、黒米由来の成分を摂ることができるため、活用方法としては、漬け床にするよりも、そのままいただく方法が一番よいかと思います。個人的には、すまし汁は出汁があれば尚美味しいですが、なくても十分に旨味と甘みを感じることができ、とても落ち着くことができるので、おススメです。

醤油麹は、醤油単体で摂るよりも塩分濃度は下がりますし、旨味も引き立つので、少しの量で料理がおいしく感じられます。減塩を気にされている方には是非一度お試しいただきたいものです。

次回、機会があれば醤油と味噌のルーツである「醤(ひしお)」に触れてみたいと思います。レシピについては、手の込んだものも沢山ありますが、まずは手軽に、身近に感じて継続してもらえたら嬉しいなという思いより、簡単でシンプルではありますが、一番味わいを感じられるものを選んでおります。どうぞお試しください。

発酵マイスター 管理栄養士 山田 かなゑ

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