今までの食品メーカーの商品開発に役立つ「焼鯛パウダー」シリーズ 第7回。
今回は、焼鯛パウダーをシーズニング、ふりかけ、米菓、スナック、揚げ物用の調味粉へ活用する方法をご紹介します。
焼鯛パウダーは、鯛そのものの旨味と焼いた香ばしさを持つ粉末素材です。
食塩や糖類、昆布、椎茸などの粉末原料と組み合わせることで、「鯛味」という分かりやすい商品特徴を作るだけでなく、魚介の旨味に厚みを持たせたシーズニングを設計できます。
一方、粉末同士を混ぜれば完成するとは限りません。
商品開発では、味の強さだけでなく、粒度、混合の均一性、食品への付着性、吸湿、保存中の香りなども確認する必要があります。
焼鯛パウダーは「鯛そのもの」を使った風味原料
魚介系シーズニングには、魚介エキスパウダー、たんぱく加水分解物、酵母エキス、香料など、さまざまな原料が使用されます。
焼鯛パウダーは、エキスだけで味を作るのではなく、鯛そのものを粉末化して食品へ配合できることが特徴です。
鯛は油分を含むため、そのままでは安定した粉末にすることが難しい素材です。
瀬戸プレスフーズでは、独自の瞬間高温高圧焼成法を活用し、何年も作りたかった鯛を、食品づくりに使用できる風味原料へ加工しました。
焼鯛パウダーを使用することで、
- 鯛そのものの魚介の旨味
- 焼いた鯛の香ばしさ
- 鯛を使用しているという分かりやすさ
を商品へ加えられます。
焼鯛パウダーが生まれた背景については、連載第1回で詳しくご紹介しています。
鯛風味は焼鯛パウダーだけで完成させなくてもよい
鯛の風味を強くしようとして、焼鯛パウダーだけを増やすと、魚介感や焼いた香りが前に出すぎる場合があります。
また、配合量の増加は原料コストや粉末の口当たりにも影響します。
鯛風味のシーズニングでは、それぞれの原料に役割を持たせて味を組み立てます。
| 原料 | 主な役割 |
|---|---|
| 焼鯛パウダー | 鯛の風味、魚介の旨味、焼いた香ばしさ |
| 焼昆布パウダー | 旨味の土台、味のまろやかさ |
| 焼椎茸パウダー | 味の厚み、余韻 |
| 食塩 | 味の輪郭、鯛の風味を引き立てる |
| 糖類 | 塩味を整え、味をまとめる |
| 酵母エキス | 旨味の補強 |
| デキストリン | 濃度調整、混合性や使いやすさの調整 |
| 香辛料・柑橘 | 商品ごとの特徴や後味の調整 |
焼鯛パウダーを主役にしながら、昆布や椎茸で旨味を支えることで、鯛だけを増量するよりも味に厚みを持たせられます。
エキスパウダーに頼り切らず、鯛・昆布・椎茸という素材そのものを組み合わせて味を作れることも、プレタス素材の特徴です。
焼鯛パウダーを活用できる6つの商品
1.鯛風味のふりかけ
ご飯用のふりかけでは、焼鯛パウダーを食塩、ごま、海苔、あられなどと組み合わせられます。
焼鯛パウダーは細かな粉末のため、ご飯の表面へ広がりやすい一方、粒の大きなごまやあられと混ぜると、袋の中で分離する可能性があります。
粉末部分を先に混合してから粒状原料と合わせる、粒度差を小さくするなどの調整が必要です。
鯛茶漬け用の商品では、焼鯛パウダーの風味に加え、湯を注いだときの分散や沈殿、飲んだときの口当たりも確認します。
2.米菓・せんべい
せんべい、あられ、おかきなどへ、鯛風味のシーズニングとして使用できます。
米の香ばしさと焼鯛パウダーの香ばしさは合わせやすく、「鯛だし味」「焼鯛味」などの商品展開が考えられます。
焼成前の生地へ練り込む方法と、焼成後に表面へ付着させる方法では、風味の出方が異なります。
- 生地への練り込み:全体へ均一に広げやすい
- 焼成後の味付け:食べ始めに鯛の風味を感じやすい
焼成温度が高い商品では香りが変化するため、完成品の状態で比較します。
3.ポテト・コーン系スナック
ポテトチップス、フライドポテト、コーンスナックなどにも活用できます。
油分のある食品では粉末が表面へ付着しやすくなりますが、油の風味によって鯛の繊細な香りが隠れる場合があります。
焼鯛パウダーだけを増やすのではなく、食塩、昆布、椎茸などとのバランスを調整し、鯛らしさが感じられる配合を探します。
4.揚げ物用の調味粉
唐揚げ、天ぷら、フライドポテト、揚げせんべいなどへ、仕上げ用の調味粉として使用できます。
揚げた直後の表面へ振りかけることで、焼鯛パウダーの香りを感じやすくなります。
一方、粉末が均一に付着しないと、部分的に味が濃くなることがあります。
食品に対するシーズニングの使用量、振りかけ方、回転混合の時間などを決め、再現性を確認します。
5.麺・パスタ用シーズニング
焼きそば、和風パスタ、即席麺などの粉末調味料にも使用できます。
鯛の風味を中心に、昆布、椎茸、柚子、山椒、にんにくなどを組み合わせることで、和風から洋風まで展開できます。
麺へ使用する場合は、粉末の状態だけでなく、麺の水分や油分と混ざった後の味で判断します。
6.おつまみ・珍味
ナッツ、揚げ豆、クラッカー、乾燥魚介などへ、鯛風味を加える使い方です。
食べ始めの香りだけでなく、噛んだ後に残る塩味や魚介感を確認します。
お酒と合わせる商品では塩味を強くするだけでなく、焼鯛パウダーの香ばしさや椎茸の余韻を活かすことで、味の持続を作れます。
シーズニングは「先味・中味・後味」で考える
鯛風味を分かりやすくするには、食べた瞬間だけでなく、噛んでいる間と飲み込んだ後の味も考えます。
先味
食品を口に入れた直後に感じる味です。
食塩や表面に付着した焼鯛パウダーが、鯛風味の第一印象を作ります。
中味
噛んでいる間に広がる味です。
焼鯛パウダーの魚介の旨味に、昆布や椎茸の旨味を重ねることで、味の中心を作ります。
後味
飲み込んだ後に残る旨味や香りです。
椎茸、香辛料、柑橘などを少量組み合わせることで、商品に合った余韻を調整できます。
「鯛の味が弱い」と感じたときも、焼鯛パウダーの増量だけで解決せず、どの段階の味が不足しているかを確認します。
粉末同士の粒度差に注意する
焼鯛パウダー、食塩、糖類、ごま、海苔などは、それぞれ粒の大きさや比重が異なります。
粒度差が大きい原料を一度に混ぜると、製造直後は均一でも、輸送や保管中の振動によって分離することがあります。
特にふりかけでは、細かな粉末が袋の底へ集まり、大きな具材が上部へ残る可能性があります。
試作では次の点を確認します。
- 粉末原料を先に混合する
- 少量原料を段階的に加える
- 粒度差が大きすぎないか確認する
- 混合時間を決める
- 袋へ充填した後に振動試験を行う
- 袋の上部と下部で味が違わないか確認する
味の配合だけでなく、消費者が最後まで同じ味で食べられることも商品品質の一部です。
食品への付着性を確認する
米菓やスナックでは、シーズニングが食品の表面へどの程度付着するかが重要です。
付着量が少ないと鯛の風味が弱くなり、反対に付着量が多すぎると、粉っぽさや塩辛さを感じることがあります。
油脂を使って付着させる場合は、
- 油脂の種類
- 油脂の使用量
- 食品の温度
- シーズニングを加えるタイミング
- 混合時間
- 袋の底に落ちる粉末量
を比較します。
製造直後だけでなく、輸送や保存後にどの程度粉末が残っているかも確認します。
吸湿・固結・香りの変化も商品設計の一部
粉末シーズニングは、保存中に水分を吸うと、ダマや固まりが生じることがあります。
特に食塩、糖類、エキス類などを組み合わせる場合は、配合全体として吸湿性を確認する必要があります。
また、焼鯛パウダーは鯛を原料としているため、保存中の香りや品質の変化も確認します。
試作段階では、
- 開封直後の香り
- 保存後の鯛の風味
- ダマや固結
- 色の変化
- 油脂を含む食品での風味変化
- 包装資材による違い
を比較します。
必要に応じて、防湿性や遮光性のある包装、脱酸素剤なども検討しますが、最終的には実際の配合と包装による保存試験で判断します。
小規模試作では3段階を比較する
最初から一つの配合に決めるのではなく、焼鯛パウダーの量を変えた3段階の試作品を作ります。
- 配合量を少なくしたもの
- 基準となるもの
- 配合量を多くしたもの
それぞれを、実際に使用する米菓、スナック、ご飯などへ同じ量だけ付着させて比較します。
粉末の状態で味見するだけでは、完成品での風味を正しく判断できません。
食品の水分、油分、温度、食感によって鯛の風味の感じ方が変わるため、最終商品に近い状態で評価します。
まとめ|鯛を増やすだけでなく、鯛を中心に味を組み立てる
焼鯛パウダーは、鯛そのものの旨味と焼いた香ばしさを、シーズニング、ふりかけ、米菓、スナックなどへ加えられる風味原料です。
商品開発では、
- 焼鯛パウダーの役割を決める
- 昆布や椎茸で旨味を支える
- 先味・中味・後味を確認する
- 粒度差と混合の均一性を確認する
- 食品への付着性を調整する
- 吸湿、固結、保存中の香りを確認する
ことが重要です。
鯛風味が弱いときに、焼鯛パウダーだけを増やすとは限りません。
昆布で旨味の土台を作り、椎茸で厚みと余韻を加え、食塩や糖類で味を整えることで、鯛を主役にした再現性のあるシーズニングを設計できます。
焼鯛パウダー・焼鯛パフを試してみたい方へ
焼鯛パウダーは、鯛そのものの旨味と焼いた香ばしさを、シーズニングや食品へ直接加えたい場合に適しています。
透明感のある鯛だしを取りたい場合は、焼鯛パフから抽出して濾す方法がおすすめです。
- 食品へ直接配合したい方:焼鯛パウダー
- 澄んだ鯛だしを抽出したい方:焼鯛パフ
- 商品に合わせて試作したい方:業務用・商品開発のご相談
まずは少量から、実際の食品へ配合し、風味、付着性、混合性、保存後の状態をご確認いただけます。

