シェフ監修 うろこのないトラフグを「松かさ揚げ風」に|焼ふぐパフで生まれた新しい食感

魚のうろこを立たせ、松かさのような姿に仕上げる「松かさ揚げ」。

皮目のパリパリとした食感と、身のやわらかさを同時に楽しめる料理ですが、うろこのないトラフグでは、一般的な松かさ揚げと同じ表現はできません。

そこで今回、呉市のフランス料理店「アミラル」の永島シェフに、焼ふぐパフを使った「トラフグの松かさ揚げ風」を作っていただきました。

トラフグのプリッとした身に、焼ふぐパフと黒米フレークによるサクサクとした香ばしい衣を合わせた、これまでにない食感の一皿です。

目次

うろこの代わりに「焼ふぐパフ」を使う

今回の料理の出発点は、

「うろこのないふぐで、松かさ揚げのような食感を表現できないか」

という発想でした。

そこで、うろこの代わりとなる香ばしい衣として使用したのが、瞬間高温高圧焼成法で加工した焼ふぐパフです。

焼ふぐパフを衣としてまとわせることで、トラフグの外側に凹凸のある香ばしい層が生まれます。

ただし、焼ふぐパフだけをそのまま付けると、粒の存在感が強く、食感が硬く感じられる場合があります。

そこで永島シェフは、黒米フレークをミキサーで少し砕き、焼ふぐパフと1対1で合わせました。

黒米フレークを加えて、衣の硬さを調整

今回の大きなポイントが、焼ふぐパフと黒米フレークの組み合わせです。

黒米フレークは、粉末状になるまで細かくするのではなく、ミキサーで軽く砕き、適度な粒を残します。

それを焼ふぐパフと1対1で混ぜることで、焼ふぐパフだけでは強くなりやすい硬さを和らげながら、衣に軽やかなサクサク感を持たせています。

焼ふぐパフの香ばしさとふぐの旨味、黒米フレークの軽い歯ざわりが重なることで、単に硬い衣ではなく、トラフグの身に合う食感へと調整されています。

これは素材を加えて味を変えるだけではなく、異なる粒度の素材を組み合わせて「噛んだときの強さ」を設計する方法です。

衣の役割

  • 焼ふぐパフ:ふぐの旨味、香ばしさ、立体的な食感
  • 黒米フレーク:衣の硬さを調整し、軽いサクサク感を加える
  • 1対1で配合:それぞれの食感を生かしながら、硬さを均一に整える

使用した材料

  • トラフグ:20g
  • 米粉:適量
  • 卵白:適量
  • 黒米フレーク:適量
  • 焼ふぐパフ:適量

黒米フレークと焼ふぐパフは、重量比1対1を目安に合わせます。

黒米フレークは、あらかじめミキサーで軽く砕いて使用します。細かくしすぎず、適度に粒を残すことが食感を作るポイントです。

作り方

1.トラフグに米粉をまぶす

トラフグの表面に、米粉を薄くまぶします。

米粉を付けすぎると衣が厚くなり、トラフグの食感を隠してしまうため、表面を軽く覆う程度にします。

2.卵白をまとわせる

米粉をまぶしたトラフグに、卵白を均一にまとわせます。

卵白が、トラフグと焼ふぐパフの衣をつなぐ役割をします。

3.黒米フレークと焼ふぐパフを付ける

ミキサーで軽く砕いた黒米フレークと、焼ふぐパフを1対1で混ぜます。

トラフグの片面に混合した衣を付け、軽く押さえて密着させます。

4.身の側から火を入れる

最初に衣の付いていない身の側から、じっくり火を入れます。

トラフグの身を硬くしすぎないよう、火の入り方を見ながら加熱します。

5.衣の側を香ばしく仕上げる

トラフグを返し、焼ふぐパフと黒米フレークの衣を香ばしく仕上げます。

焼ふぐパフはすでに焼成されているため、焦がしすぎず、衣の表面が香ばしくなる程度に仕上げるのがポイントです。

「プリッ」と「サクサク」の食感の対比

完成した料理を切ると、内側にはトラフグの白く、みずみずしい身が現れます。

トラフグ特有のプリッとした弾力に、表面のサクサクとした香ばしい衣が重なり、一口の中に明確な食感の対比が生まれました。

さらに、ふぐにふぐ由来のパフを合わせることで、衣が単なる食感素材ではなく、ふぐの旨味を重ねる役割も果たしています。

「魚に別の衣を付ける」のではなく、「ふぐを、ふぐの衣で包む」。

素材の一体感も、この料理の大きな特徴です。

できない料理を、素材の形を変えて可能にする

トラフグにはうろこがないため、本来の松かさ揚げと同じ調理法は使えません。

しかし、うろこの代わりとなる焼ふぐパフを用い、黒米フレークで硬さを調整することで、松かさ揚げを思わせる香ばしさと食感を新しい形で表現できました。

今回の料理は、焼ふぐパフを単なるトッピングではなく、

  • うろこの代替となる立体的な衣
  • ふぐの旨味を重ねる素材
  • サクサクした食感を作る素材

として活用した事例です。

さらに黒米フレークを組み合わせることで、衣の硬さまで調整されています。

素材の粒度や配合を変えることで、これまで作れなかった料理を可能にする。

焼ふぐパフの新しい活用方法として、料理開発やメニュー開発にも可能性を感じる一皿となりました。

アミラル・永島シェフとの料理開発

今回の「トラフグの松かさ揚げ風」は、呉市のフランス料理店「アミラル」の永島シェフに作っていただきました。

焼ふぐパフだけでは強くなりやすい食感を、軽く砕いた黒米フレークとの1対1の配合で調整するなど、素材の特徴を見極めたシェフならではの料理設計です。

トラフグのプリッとした食感と、香ばしく軽いサクサク感。

焼ふぐパフだからこそ生まれた、新しいふぐ料理です。

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