亜鉛とビタミンCを一緒に摂るとよい?
「亜鉛はビタミンCと一緒に摂ると、吸収率がよくなる」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
亜鉛とビタミンCは、ともに体の健康を保つために必要な栄養素です。そのため、肉や魚介類などの亜鉛を含む食品に、野菜や果物を組み合わせることは、食事全体の栄養バランスを整えるうえで役立ちます。
ただし、ビタミンCが亜鉛の吸収を直接、大幅に高めるという十分な根拠は、現時点では確立していません。
ビタミンCには、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の吸収を助ける働きが知られています。この鉄との関係が、亜鉛にも当てはまるものとして紹介されることがありますが、鉄と亜鉛は別のミネラルです。
したがって、亜鉛とビタミンCの組み合わせは、単純に「吸収率を上げる組み合わせ」と考えるより、不足しやすい栄養素を一度の食事でバランスよく摂る組み合わせと捉えるのが適切です。

そもそも亜鉛は吸収率が一定ではない
亜鉛の吸収率は、摂取した量だけで決まるわけではありません。
食事に含まれる亜鉛の量、亜鉛がどのような食品に含まれているか、一緒に食べる成分、体内の亜鉛の状態などによって変わります。米国国立衛生研究所(NIH)の資料では、食品から摂った亜鉛の吸収率は、食事内容によって5%から50%を超える範囲まで変動するとされています。
特に影響が大きいと考えられているのが、穀類、豆類、種実類などに含まれるフィチン酸です。
フィチン酸は亜鉛と結びつき、腸管からの吸収を妨げることがあります。そのため、亜鉛を効率よく摂るには、ビタミンCだけに注目するのではなく、食事全体の組み合わせを考えることが大切です。
亜鉛を効率よく摂るための4つのポイント
1.亜鉛を多く含む食品を主菜にする
まず大切なのは、亜鉛そのものを含む食品を十分に取り入れることです。
亜鉛を多く含む代表的な食品には、牡蠣、牛肉、豚肉、レバー、魚介類、卵、乳製品などがあります。なかでも牡蠣は、亜鉛を豊富に含む食品としてよく知られています。
副菜だけで亜鉛を補おうとするより、肉や魚介類を主菜として組み立てると、日常の食事に取り入れやすくなります。

2.動物性たんぱく質を組み合わせる
一般に、動物性食品を含む食事は、植物性食品だけの食事より亜鉛を利用しやすい傾向があります。
肉、魚、卵、乳製品などに含まれるたんぱく質を組み合わせることで、亜鉛を含む主菜として食べやすくなります。
たとえば、豆や穀類を多く使う料理に、少量の肉や魚介類、卵を加える方法も考えられます。
3.フィチン酸の影響を小さくする
玄米、全粒穀物、豆類などは、食物繊維やさまざまな栄養素を含む一方、フィチン酸も含んでいます。これらの食品を避ける必要はありませんが、亜鉛の吸収を考える場合は、次のような調理や食べ方が役立ちます。
- 豆類や穀類を浸水する
- 発芽、発酵させた食品を利用する
- 動物性たんぱく質を組み合わせる
- 特定の食品だけに偏らず、食事全体を整える
納豆やみそ、発酵パンなど、発酵を利用した食品を組み合わせるのも一案です。
4.ビタミンCや有機酸を含む食品を添える
ビタミンCが亜鉛の吸収率を直接高めるとは断定できませんが、野菜や果物を添えることで、ビタミンCをはじめとした栄養素を一緒に摂れます。
また、レモンや酢などに含まれるクエン酸をはじめとする有機酸は、ミネラルを溶けやすい状態に保つ可能性があります。ただし、通常の食事における亜鉛吸収への効果は、食品の種類や食事条件によって異なります。
「ビタミンCを加えれば亜鉛の吸収率が必ず上がる」と考えるのではなく、亜鉛を含む食品を、野菜や果物、酸味のある食材と一緒においしく食べる工夫として取り入れるのがよいでしょう。
亜鉛とビタミンCを一緒に摂れる食べ合わせ
牡蠣+レモン
牡蠣は亜鉛を豊富に含み、レモンはビタミンCやクエン酸を含みます。蒸し牡蠣や牡蠣フライにレモンを添えると、濃厚な牡蠣の味を酸味が引き締め、栄養面だけでなくおいしさの面でも相性のよい組み合わせになります。
牛肉+パプリカ
牛肉は亜鉛とたんぱく質を含み、赤や黄のパプリカはビタミンCを多く含みます。炒め物やマリネ、サラダ仕立てにすると、主菜と野菜を一皿で組み合わせられます。
豚肉+ブロッコリー
豚肉を主菜にし、ビタミンCを含むブロッコリーを添える組み合わせです。蒸し料理や炒め物にすると、家庭でも取り入れやすくなります。
卵+じゃがいも
卵は亜鉛とたんぱく質を含み、じゃがいもはビタミンCを含みます。じゃがいものビタミンCはでんぷんに守られているため、加熱調理にも比較的取り入れやすいのが特徴です。スペイン風オムレツやポテトサラダなどに応用できます。
焼カキパウダー+野菜料理
毎日の料理に牡蠣を取り入れるのが難しい場合は、牡蠣を素材にした食品パウダーを活用する方法もあります。
プレタスの焼カキパウダーは、スープ、クリームソース、ドレッシング、塩こうじなどに少量加えやすく、牡蠣の旨味とコクを料理の下支えとして利用できます。
たとえば、ブロッコリーやパプリカを使ったスープに加えたり、レモンを使った魚介のソースに合わせたりすると、亜鉛を含む牡蠣素材とビタミンCを含む食材を無理なく一皿に取り入れられます。
※実際に摂取できる亜鉛量は、商品の分析値と使用量によって異なります。栄養成分を表示・訴求する場合は、最新の分析値をご確認ください。
サプリメントは多く摂るほどよいわけではない
亜鉛は不足を避けたい栄養素ですが、サプリメントなどで長期間にわたり過剰摂取すると、銅の吸収を妨げるほか、吐き気などを起こす可能性があります。
また、高用量の鉄サプリメントを同時に摂ると、亜鉛の吸収に影響することがあります。治療中の方、薬を服用している方、複数のサプリメントを利用している方は、医師や薬剤師、管理栄養士に相談してください。
基本は、特定の栄養素だけを大量に摂るのではなく、食事から継続的に取り入れることです。
まとめ|ビタミンCだけでなく食事全体で考える
亜鉛とビタミンCを含む食品を組み合わせることは、食事全体の栄養バランスを整えるうえで有用です。
一方で、ビタミンCが亜鉛の吸収率を直接大幅に高めるとは、現時点では言い切れません。亜鉛を効率よく摂るには、次の点を意識しましょう。
- 牡蠣、肉、魚、卵など亜鉛を含む食品を摂る
- 動物性たんぱく質を組み合わせる
- フィチン酸の多い食事に偏らない
- 浸水や発酵などの調理法を活用する
- 野菜、果物、レモン、酢などを組み合わせる
亜鉛の量だけを見るのではなく、「何と一緒に、どのようにおいしく食べるか」まで考えることが、毎日続けやすい摂り方につながります。
参考資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 厚生労働省eJIM「亜鉛」
- 米国国立衛生研究所 Office of Dietary Supplements「Zinc – Health Professional Fact Sheet」
※本記事は一般的な栄養情報を提供するもので、病気の診断や治療を目的としたものではありません。

