スープジャーで作る「カキの旨味塩こうじ」|焼カキパウダーで広がる濃厚なコク

塩こうじに焼カキパウダーを加えてみると、通常の塩こうじとは少し違う、奥行きのある味わいになりました。

今回使用したのは、乾燥米麹・塩・焼カキパウダー、そして70℃のお湯。少量をスープジャーで保温することで、家庭でも手軽に「旨味塩こうじ」を作ることができます。

同じ方法で焼鯛パウダーを使った塩こうじも試作しましたが、カキの塩こうじには、鯛とは異なる厚みと余韻が感じられました。

魚介料理だけでなく、肉、野菜、クリーム料理などにも応用できる、新しい万能調味料として可能性を感じます。

目次

今回作ったカキの旨味塩こうじ

材料

材料使用量
乾燥米麹50g
15g
焼カキパウダー1.5g
70℃のお湯160ml
使用容器THERMOSスープジャー

※スープジャーの実容量や麹の吸水状態によっては全量が収まらない場合があります。必ず容器の規定量を守り、あふれないように調整してください。

作り方

  1. スープジャーに熱湯を入れ、数分置いて容器を予熱します。
  2. 予熱用のお湯を捨て、水分をよく切ります。
  3. 乾燥米麹、塩、焼カキパウダーを別の清潔な容器で均一に混ぜます。
  4. スープジャーに入れ、70℃程度のお湯を加えます。
  5. 清潔なスプーンで、底からしっかり混ぜます。
  6. ふたを閉めて保温し、約6時間を目安に置きます。
  7. 麹が柔らかくなり、甘味ととろみが出たら完成です。
  8. 粗熱を取り、清潔な保存容器へ移して冷蔵保存します。

70℃は「加えたお湯の温度」です。冷たい米麹や容器に触れることで、混合後の温度は下がります。できれば混ぜた直後の温度を測り、50~60℃前後に収まっているか確認すると安定します。

スープジャーで短時間に作れる理由

一般的な塩こうじは、室温で1~2週間ほどかけて熟成させます。マルコメの手作り塩糀でも、1日1回かき混ぜながら、麹が指でつぶせる程度になるまで熟成させる方法が紹介されています。

一方、スープジャーを使う方法は、麹菌を長期間育てるというよりも、麹がすでに作っている酵素の働きを、温度によって促す方法です。

主に、

  • アミラーゼが米麹のでんぷんを分解し、甘味を生み出す
  • プロテアーゼなどがたんぱく質に働き、味に丸みを加える
  • 米麹が吸水して柔らかくなり、とろみが出る

という変化が起こります。

そのため、厳密には「発酵を急速に進める」というより、麹酵素による糖化・分解を短時間で進める保温調理と考えると分かりやすいでしょう。

広島県の解説では、麹の酵素がよく働く温度はおおむね30~50℃程度とされ、高温になると酵素が壊れて働きを失うことが説明されています。広島県「米麹の利用方法」

したがって、熱湯を直接麹に注ぐことは避け、混合後の温度が高くなりすぎないようにすることが大切です。

2つの方法の違い

比較スープジャー法室温法
時間約6時間約1~2週間
主な変化麹酵素による短時間の糖化・分解酵素作用と緩やかな熟成
味わい甘味が出やすく、まろやか香りや旨味がゆっくりなじむ
カキの印象カキの旨味が比較的明瞭米麹と一体化した複雑な味
管理初期温度と保温状態室温、毎日の攪拌、衛生管理

なぜカキ塩こうじには「奥行き」があるのか

今回、鯛の塩こうじと比較して、カキのほうに奥行きを感じられたという点は、とても興味深い結果です。

焼鯛パウダーは、魚らしい上品な旨味と香ばしさが特徴です。味の輪郭が比較的すっきりしているため、白身魚やだし料理など、素材の味を繊細に引き立てる用途に向いています。

一方、カキは魚とは少し異なる味の構成を持っています。

カキ塩こうじの味のイメージ

味の段階感じやすい要素
先味塩味、焼カキの香ばしさ
中味米麹の甘味、カキの濃厚な旨味
後味貝類らしい余韻、厚み、コク

カキにはアミノ酸系の旨味だけでなく、貝類に特徴的な旨味や甘味、コクにつながる成分が含まれています。そこへ米麹の自然な甘味と、塩こうじによる塩角の丸みが重なることで、味に複数の層が生まれたと考えられます。

特に、単純に「カキ味が強い」というよりも、

最初はまろやかな塩味、途中から旨味と甘味が広がり、最後にカキの余韻が残る

という流れが、「奥行き」として感じられた可能性があります。

これは現時点では今回の試食に基づく官能的な評価ですが、カキ塩こうじの特徴を伝える大切な表現になると思います。

カキの旨味塩こうじに合う料理

1.白身魚・鮭の下味

鯛、スズキ、サワラ、鮭などに薄く塗り、冷蔵庫で30分~2時間ほど置きます。

焼く前に表面を軽く拭き取ると、焦げすぎを防ぎながら、魚の内側にまろやかな塩味と旨味を加えられます。

鯛の塩こうじが「魚の味を上品に伸ばす」タイプなら、カキ塩こうじは「魚にコクを補う」タイプです。

2.鶏肉・豚肉の漬け込み

鶏むね肉、鶏もも肉、豚ロースなどにも合います。

目安として、食材重量の5~8%程度のカキ塩こうじを薄くなじませ、冷蔵庫で数時間置きます。最初は少なめから試してください。

カキの旨味は肉の風味ともなじみやすく、通常の塩こうじよりもソースをかけたようなコクを加えられます。

3.きのこのソテー

マッシュルーム、しいたけ、しめじ、舞茸をバターまたはオリーブオイルで炒め、仕上げに少量加えます。

カキときのこの旨味が重なるため、肉を使わなくても厚みのある一皿になります。

焼マッシュルームパウダーを少量組み合わせる展開も考えられます。

4.クリームソース・グラタン

牛乳、生クリーム、豆乳などの乳白色のソースに加えると、カキの香りを強く出しすぎずに、塩味とコクを補えます。

おすすめは、

  • 牡蠣とほうれん草のグラタン
  • 白身魚のクリーム煮
  • きのこのクリームパスタ
  • 白菜とベーコンの豆乳スープ
  • じゃがいものポタージュ

ホワイトソースに使う場合は、塩の代わりに少量ずつ加え、最後に味を調整します。

5.野菜のディップ

カキ塩こうじにマヨネーズ、ヨーグルトまたは豆乳を加えるだけで、魚介のコクを持つディップになります。

カキ塩こうじマヨディップ

  • カキ塩こうじ:1
  • マヨネーズ:3
  • レモン汁:少量
  • 黒こしょう:適量

蒸しじゃがいも、ブロッコリー、アスパラガス、れんこん、カリフラワーなどに合います。

6.オイルと合わせた魚介ソース

カキ塩こうじ、オリーブオイル、酢またはレモン汁を混ぜると、カルパッチョや温野菜に使えるソースになります。

基本割合

  • カキ塩こうじ:1
  • オリーブオイル:2
  • 米酢またはレモン汁:0.5~1

カキの旨味があるため、アンチョビを使わなくても魚介系のコクを加えられます。

7.卵料理

オムレツ、スクランブルエッグ、茶碗蒸しにも少量使えます。

卵は旨味を受け止めやすく、カキの香りを穏やかに包み込みます。入れすぎず、卵2個に対して小さじ1程度から試すのがおすすめです。

8.炊き込みご飯・リゾット

米とカキは非常に相性がよい組み合わせです。

炊き込みご飯では調味液の一部に、リゾットでは仕上げの塩の代わりに使います。きのこ、ごぼう、しょうが、バターなどを合わせると、さらに奥行きが出ます。

特に可能性を感じる料理

今回のカキ塩こうじは、次の3方向で特に展開しやすいと思います。

「海の旨味を加える下味調味料」

魚介だけでなく、鶏肉や野菜へ海の旨味を加える使い方です。カキそのものを入れなくても、料理に魚介系の厚みを持たせられます。

「塩とだしを一つにした調味料」

塩こうじの塩味・甘味・分解力に、焼カキパウダーの旨味を組み合わせています。

つまり、

塩味を付けながら、だしとコクも加えられる

ことが最大の特徴です。

「和食にも洋食にも使える発酵系ソースベース」

味噌ほど色が濃くなく、醤油ほど香りを限定しないため、クリーム、オイル、酢、バターなどにも合わせられます。

カキ塩こうじを完成品の調味料として使うだけでなく、そこから、

  • カキ塩こうじマヨネーズ
  • カキ塩こうじバター
  • カキ塩こうじドレッシング
  • カキ塩こうじクリーム
  • カキ塩こうじ漬けだれ
  • カキ塩こうじ鍋つゆ

へ展開できる点に商品開発の可能性があります。

スープジャーで作るときの注意点

容器を清潔にする

スープジャー、ふた、パッキン、スプーンはよく洗浄してください。サーモスも、取り外せるパーツを確認し、パッキンまで清潔に保つことを案内しています。サーモス「水筒&スープジャーの洗い方」

70℃のお湯を麹の一点に直接当て続けない

高温部分ができると、麹酵素の一部が働きにくくなる可能性があります。乾燥米麹、塩、焼カキパウダーを先に均一に混ぜ、お湯を加えたらすぐ全体を混ぜます。

保温中に常温まで下がった場合

温度が30℃前後まで下がっても、すぐにすべての変化が止まるわけではありません。ただし、50~60℃帯に比べると糖化の速度は遅くなります。

一方で、中途半端な温度で長時間置くことは衛生面からおすすめできません。予定した保温時間が終わったら状態を確認し、速やかに冷まして冷蔵庫へ移します。

完成後は冷蔵保存する

市販品と違い、家庭で作る塩こうじには殺菌工程や保存試験がありません。清潔な容器に移し、必ず冷蔵保存してください。

におい、色、泡立ち、粘りなどに明らかな異常がある場合は使用しないでください。長期保存を前提にせず、少量ずつ作り、清潔なスプーンで取り出す方法が安心です。

まとめ

焼カキパウダーを加えた塩こうじは、単にカキの味を付ける調味料ではありません。

米麹の甘味、まろやかな塩味、カキの旨味と余韻が重なることで、鯛の塩こうじとは異なる奥行きが生まれました。

スープジャーを使えば、少量から試作できることも大きな利点です。

魚や肉の下味だけでなく、野菜のディップ、クリームソース、パスタ、スープ、炊き込みご飯などへ広げられる「旨味塩こうじ」。

焼カキパウダーの栄養面だけでなく、料理の味を組み立てる素材としての新しい可能性が見えてきました。

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