
昆布だしの旨味を、食材へ均一に吹き付けることはできないだろうか。
そんな発想から、プレタスでは「昆布だしスプレー」の検証を行いました。
ホテルや給食、セントラルキッチンなどの大量調理では、魚や肉に塩を均一に振るだけでも経験が必要です。
一枚一枚へ手作業で塩を振る場合、
- 作業する人によって塩加減が変わる
- 食材の場所によって味の濃淡が生まれる
- 大量になるほど作業時間がかかる
- 冷凍魚など淡白な素材へ、もう少し旨味を加えたい
といった課題があります。
そこで考えたのが、
「塩味だけではなく、昆布の旨味も一緒に霧状にして均一に吹き付ける」
という方法です。
しかし、昆布には一つ大きな特徴があります。
濃厚な昆布水は、細かな霧にしにくい
昆布にはアルギン酸と呼ばれる多糖類が含まれています。
一般的な昆布を水に浸すと、昆布特有のぬめりや粘りが出てきます。
特に昆布の使用量を増やし、旨味の濃い昆布水を作ろうとすると、液体の粘度も高くなりやすくなります。
すると、
昆布を濃くする
↓
昆布の旨味は強くなる
↓
液体の粘度も高くなる
↓
細かな霧として吹き付けにくくなる
という問題が生じます。
つまり、
「濃い昆布の旨味を付けたい」と「細かな霧として均一に吹き付けたい」は、通常の昆布では両立しにくい。
ここが今回の実験の出発点です。
瞬間高温高圧焼成した昆布ではどうなる?
プレタスの昆布素材は、独自の「瞬間高温高圧焼成法」によって加工しています。
この加工を行った昆布については、分析によってアルギン酸の低分子化が確認されています。
そこで、
通常の昆布と、瞬間高温高圧焼成した昆布では、水に抽出したときの状態がどのように違うのか
を比較しました。
実験① 通常昆布と焼昆布の抽出状態を比較
通常昆布と、瞬間高温高圧焼成した昆布をそれぞれ水に浸し、抽出状態を比較しました。
その後、コーヒーフィルターを使用して濾過しています。
通常昆布では、昆布特有のぬめりが確認でき、濾過の際にも粘性を感じる状態になりました。
一方、瞬間高温高圧焼成した昆布では、今回の条件では比較的流動性のある抽出液となりました。
動画で確認できるポイント
- 通常昆布のぬめり
- 濾過するときの液体の流れ方
- 焼成昆布との抽出状態の違い
- 抽出後の液体の見た目
分析データだけではなく、実際の抽出液の状態にも違いが見られたことが、今回の検証の重要なポイントです。
実験② 実際にスプレーすると、吹き付け方はどう違う?
次に、それぞれの昆布水をスプレーボトルに入れ、キッチンペーパーへ吹き付けました。
すると、噴霧状態にも違いが見られました。
通常昆布側でも液体を吹き付けること自体はできます。
しかし今回の条件では、細かな霧状になりにくく、一部へ液体がまとまって付着する状態が確認されました。
一方、瞬間高温高圧焼成した昆布では、より細かな霧として広い範囲へ噴霧することができました。
吹き付け状態の違い
通常昆布
液体は出るものの、比較的大きな液滴となり、局所的に付着しやすい状態。
瞬間高温高圧焼成昆布
今回の条件では、より細かな霧として広い範囲へ吹き付けることができました。
この違いが、
「昆布の旨味を食材表面へ均一に付ける」
という新しい活用につながります。


PRE+昆布10%でも噴霧できるか検証
今回の検証では、水に対してPRE+昆布を約10%使用して昆布水を作りました。
水に加えて約15分抽出します。水だしでも15分で出ことも特徴。
一般的な昆布では濃度を高めるほど粘りが出やすくなりますが、瞬間高温高圧焼成した昆布では、今回の条件で10%という高い使用量でもスプレーによる噴霧が可能でした。
ここで重要なのは、
薄い昆布水をスプレーすることではありません。
私たちが考えているのは、
「しっかりと昆布の旨味を持った液体を、細かな霧として食材へ付ける」
という使い方です。
実験③ 野菜・魚・肉へ実際に吹き付けてみる
次に、実際の料理へ応用しました。
昆布水に調味料を加え、スプレーボトルで食材へ吹き付けます。
今回は、
- アスパラガス
- 椎茸
- 鱈
- 鶏肉
で検証しました。
食材へ噴霧した後、約5分間なじませてから加熱しています。
アスパラガスへの活用
アスパラガスの表面へ昆布水を霧状に吹き付け、約5分置いてから加熱しました。
塩だけを振るのではなく、昆布の旨味を含んだ液体を表面へ広げることで、素材そのものの味を活かした調理を目指しています。
椎茸への活用
椎茸にも同じように昆布水を吹き付けてから加熱しました。
昆布と椎茸は、だしの組み合わせとしても相性のよい素材です。
今回は「だしとして煮出す」のではなく、
食材の表面へ旨味を付ける
という使い方を試しました。
鱈への活用
鱈については、あえて冷蔵庫で一日置いたものを使用し、通常行われる塩や酒などの下処理を行わずに検証しました。
昆布水を吹き付けてから加熱したところ、今回の官能評価では魚特有のにおいが感じにくく、身もふっくらとした仕上がりになりました。
これは今回の調理条件で得られた評価であり、今後さらに条件を変えながら検証していきます。
鶏肉への活用
鶏肉でも同じように昆布水を吹き付けてから加熱しました。
今回の試作では、昆布の旨味と塩味が加わることで、シンプルな調理でも旨味を感じやすい仕上がりになりました。
また、鶏肉100gを25gずつに分けて検証しています。
この考え方は、今後の大量調理への応用でも非常に重要になります。
大量調理で考えたい「塩を振る」という作業
ホテルや給食などでは、一度に数十枚、場合によっては数百枚の魚や肉へ下味を付けることがあります。
例えば100枚の魚へ塩を振る場合、
熟練した料理人であれば感覚的に均一に振ることができます。
しかし作業者が変われば、
- 塩の量
- 振る位置
- 食材との距離
- 振る回数
なども変わります。
これが仕上がりのばらつきにつながる可能性があります。
そこで、
昆布水に一定濃度の塩を溶かし、一定量をスプレーする
という方法を考えます。
例えば、
魚100gに対して○プッシュ
と決めることができれば、
作業する人が変わっても、同じ条件で下味を付けやすくなります。
つまり、
「塩を均一に付ける」+「昆布の旨味を均一に付ける」
を一つの作業で行うことができます。
冷凍魚への活用も考えられる
この方法で特に検証してみたいのが、ホテル・外食・給食などで使用される冷凍魚です。
冷凍の白身魚などは大量調理でも使いやすい一方、
「もう少し旨味を加えたい」
「下味を均一に付けたい」
という場面があります。
例えば、
冷凍魚を解凍
↓
昆布水+塩を一定回数噴霧
↓
一定時間なじませる
↓
焼成・蒸し調理
という工程です。
塩だけではなく昆布の旨味も同時に付けられるため、下味工程そのものを新しく考えることができます。
「振る塩」から「噴霧する旨味塩」へ
今回の検証から見えてきたのは、単なる「昆布だしスプレー」という料理のアイデアだけではありません。
従来、
料理人が感覚で塩を振る
という工程を、
一定濃度の旨味液を、一定量噴霧する
という工程へ変えられる可能性があります。
目指しているのは、料理人の技術を置き換えることではありません。
大量調理において、
作業者によるばらつきを減らし、再現性を高めること
です。
新しい「昆布締め」という考え方
昆布締めは、魚を昆布で挟み、時間をかけて昆布の旨味を移す日本料理の伝統的な技法です。
今回の方法は、それとは違います。
濃厚な昆布水を細かな霧として直接食材へ吹き付けることで、
「挟む昆布締め」から「吹き付ける昆布締め」へ
という新しい発想も考えられます。
魚だけでなく、
- 鶏肉
- 豚肉
- きのこ
- 野菜
- 穴子
- たこ
- 白身魚
など、さまざまな素材への応用が考えられます。
昆布を「だし素材」から「調味技術」へ
昆布はこれまで、
煮出して、だしを取るもの
として使われてきました。
しかし昆布の物性が変われば、使い方も変わります。
瞬間高温高圧焼成した昆布では、
短時間で抽出する
↓
濃度を高める
↓
細かな霧にする
↓
食材表面へ均一に付ける
という、これまでとは違った活用方法が考えられます。
そしてこの特徴は、
- ホテル
- レストラン
- 給食
- セントラルキッチン
- 惣菜
- 冷凍食品
- 加工食品
など、さまざまな食品開発への応用が期待できます。
「おいしさ」と「作業の標準化」を同時に考える
食品・外食の現場では、おいしいものを作ることはもちろん重要です。
同時に、
誰が作業しても、一定の品質へ近づけること
も重要になっています。
昆布だしをスプレーするというシンプルな方法ですが、
昆布の旨味を加える
+
塩味を均一にする
+
作業を標準化する
という3つを、一つの工程で実現できる可能性があります。
プレタスでは、瞬間高温高圧焼成によって生まれた食品素材の特徴を、実際の料理・大量調理・食品開発へどのように活かせるのか、これからも検証を続けていきます。
食品開発・業務用での活用をご検討の方へ
- 冷凍魚の下味を均一にしたい
- 大量調理の味付けを標準化したい
- 昆布の旨味を既存商品へ加えたい
- 噴霧調味を食品開発へ活用したい
- ホテル・給食向けの工程を検討したいといった用途に合わせた試作・食品開発についてもご相談いただけます。
といった用途に合わせた試作・食品開発についてもご相談いただけます。

