管理栄養士が考える!本物のだしを食卓へ ~高齢者施設への導入案~

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本物のだしについて

昔から料理に欠かすことのできない「だし」。現代では乾物から煮出す必要のないさまざまな商品が流通しています。

中には利便性や嗜好のために化学調味料が添加されているものもあり、商品の選択に迷う方もいるでしょう。本物のだしとはどのようなものでしょうか。

そこで今回は素材を活かしただしを取り上げ、体にやさしい食事づくりのヒントをご紹介します。

厳選素材と独自製法でつくる「だし作り」

今回ご紹介します商品は、株式会社瀬戸プレスフーズの「焼だしふぐ」「焼昆布パウダー」「焼椎茸パウダー」の3点です。

1.焼きだしふぐ

廃棄されがちな国産ふぐの中骨を使用し、特許製法である瞬間高温高圧焼成法にて素材の旨味や香りはそのままに、魚独特の臭みやえぐ味を除いています。

また、圧力をかけることで表面積が広がり、旨味が抽出されやすい特徴があります。

さらに瞬間的に加熱をしているため栄養素の損失が少なく、ふぐに豊富に含まれている骨の形成に必要なカルシウムとビタミンD 、骨周りに多いコラーゲンとエネルギー代謝を助けるナイアシンもしっかりと摂取できる点は嬉しいポイントです。

焼きだしふく 

2.焼昆布パウダー

北海道産の昆布を瞬間高温押圧焼成法にて加工され、パウダー状になっています。

分子が細かいため水に溶けやすい点はもちろん、昆布特有のねばりがなく旨味が拡散します。また、昆布に含まれる水溶性食物繊維(フコイダン)も摂取することができます。

焼昆布パウダー

3.焼椎茸パウダー

焼昆布パウダーと同様、国産の干し椎茸を瞬間高温高圧焼成法にて加工後、パウダー状にしているため、通常の干し椎茸を水で戻す手間がありません。また、干し椎茸を豊富に含まれるビタミンDが手軽に摂取できる商品です。

焼椎茸パウダー

実際に試飲してみて

株式会社瀬戸プレスフーズ様にレクチャーを受け、3種類のだしを試飲しました。

まず、開封した瞬間にほのかに香ばしい素材の香りが広がりました。

焼きだしふぐはティーパック状になっており、焼昆布パウダーと焼椎茸パウダーは息を吹きかけたら舞ってしまうほど非常に細かい粒子です。

1.透明感のあるだし

焼きだしふぐを湯に浸けて数秒すると、素材の香りが広がり、黄金色で透明感のあるだし汁が出来上がりました。煮出すことなく、澄んだ色のだしが取れる点は調理時間の短縮に繋がると感じました。

味はしっかりとしており、このままお吸い物として提供可能です。だしの香りと味わいに心がホッとしました。さらに素材を丸ごと活かし、栄養も余すところなく摂取できる点は体にやさしく安心して提供できると思いました。

2.旨味の相乗効果が簡単に

焼だしふぐのだし汁のみでも十分おいしかったのですが、さらに焼昆布パウダーを少量追加しました。非常に細かい粒子のため、かき混ぜると素早く溶け込みました。ダマになる心配はありません。旨味が増してさらに味わい深くなります。

昆布に含まれるアミノ酸であるグルタミン酸と、ふぐに含まれる核酸系旨味成分のイノシン酸を組み合わせることで旨味が飛躍的に強くなり、旨味の相乗効果でよりおいしくなります。

昆布のだしを一から取ると、下処理や浸漬、加熱という長時間の調理工程が必要ですが、昆布パウダーを使用することで安全かつ素材からの栄養もしっかりと摂れるだしが数秒で完成します。

さらに焼椎茸パウダーを少量追加すると、椎茸の核酸系旨味成分のグアニル酸が加わり、旨味が増すと共にまろやかなだし汁に変化しました。

手軽に「追いだし」ができることで好みのだし汁に調整でき、素材の本来の味や旨味を堪能できることに感動しました。

高齢者施設への導入メリット

試飲を通し、素晴らしいだしを大量調理にも活かすことはできないかと考えました。私自身、特別養護老人ホームでの在職経験があり、当時は汁物の味付けのバラつきに悩んでいました。準的な水分量と顆粒だしの素の量は決まっていましたが、調理員の意識や時間に追われる等により統一することが難しかったと覚えています。

しかし焼きだしを導入することで、汁物調理に関して以下の利点が考えられます。

1.調理の標準化

だしの量に対する水分量の提示があるため、調理員は水分の計量のみ。沸騰後、だしパックを数分煮出して完成。誰が担当になっても味のバラつきがなく、調理の標準化が確立できます。また、パックなので衛生的な保管と在庫管理がしやすい利点もあります。

2.素材そのものの栄養が摂れる

焼きだしふぐは、ふぐの中骨を瞬間高温高圧焼成法にて加工しているため、カルシウム等の栄養素が十分に溶け出し、高齢者に不足しがちな栄養素の補給が可能になります。

また、焼昆布パウダーを追加すると腸内環境を整える水溶性食物繊維やマグネシウムが、焼椎茸パウダーからはカルシウムの吸収促進作用のあるビタミンD も同時に摂取できます。栄養素が豊富なだし汁を使用した汁物は、食事の主役にもなれるのです。

さらに旨味を効かせることにより、食塩の使用量を減らすことが可能です。減塩商品を使用しなくともおいしく減塩ができる点は高齢者の体にとって喜ばしいことです。

3.環境にやさしい

パウダーのため、だし殻を廃棄する必要がありません。使用後のだしパックも水分を絞ることで生ごみの量を減らすことができ、施設全体のごみ処理費用の削減に繋がります。

また、焼きだしふぐの原料も廃棄されがちな中骨を使用しています。

おいしく栄養補給ができ、なおかつ食品ロスやごみの削減などSDGsの取り組みにもなる、一石二鳥の商品です。

本物のだしで豊かな食卓へ

独自の加工方法で製品化された「焼きだしふぐ」「焼昆布パウダー」「焼椎茸パウダー」は、素材の特徴を活かし栄養素が凝縮された体においしいだしです。

素材を大切にしているだしは香りや味が格段に違い、これに勝るものはありません。

また大量調理においても、誰が調理しても短時間で同じ味が再現でき、素材のもつ栄養素を余すところなく提供できる理想の食事となるでしょう。

株式会社瀬戸プレスフーズのだしシリーズは調理員と利用者様双方に嬉しい商品としておすすめです。ぜひ、お試し下さい。

【参考資料】 (最終観覧日:2021年11月5日)

瀬戸プレスフーズ (seto-pre.com)

うま味の成分 | 日本うま味調味料協会 (umamikyo.gr.jp)

17の目標と食品産業とのつながり:目標2に対する取組:農林水産省 (maff.go.jp)

管理栄養士 山田 美穂

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